スプラトゥーンのガチマッチで勝つために気をつけていること

反射神経とエイム力(=相手に狙いを当てる能力)はそう簡単に身につくものではない。野良で味方を当てる運ゲーとも言われるが、運は待つのではなく引き寄せるものだ。年齢を重ねてしまった今そういうものを後から得られることはないが、頭を使ってできることもあるので、そういうことを書き並べてみようと思う。ちなみにウデマエはまだXに達したことがない程度のエンジョイ勢です。


多勢で挑む

まず多勢で挑むこと。多勢がより有利になることを数理的に示したランチェスターの法則によれば、多勢が攻撃を集中した場合は単に人数比ではなく、その自乗に比例して相手の戦力を削っていくことができる。つまり、すごい雑にいうと 4vs1 の場合、こちらは一人も削られることはないということだ。逆に 1vs4 の場合は相手を一人でも削れたら戦術的にはすごいことなのだが、全体的にはメリットは薄いので引くに如かずということになる。

どうしても局面的に数で押せない場合は、

  • 味方のいる場所まで逃げる
  • 近距離系のスペシャルで一気に倒す
  • 相手の射線がかぶるように立つ(こちらから見て向こうが縦一列に並んでいるような位置取りをする)
  • インクが塗れている場所や隘路に誘導して一人ずつ倒す

などを心がけよう。ブラスターやダイナモなど複数同時に倒せるブキもあるが、あちらの攻撃の手数は減らないのでやられるリスクの方が大きい。

1vs1 で勝てるかどうか

まず何よりもメインウェポンの基礎知識、相性とチョイスが重要。基本的に全部のブキを現場で使って試してみること、ネットで基本的な使い方やテクニックを覚えておくことをおすすめする。自分ができるかどうかは別にしても、上級者のプレイ動画を見ておくとよいだろう。自分の常用じゃなくても、ブキに対する理解は倒すときにも役立つ。そのためにも、まず各ブキの基本動作を習得しよう。おおまかにいって、それぞれ以下のようなものがある。

  • マニューバーでのスライド: 前後左右にシャコシャコ動くことで相手のエイムを混乱させることができる。物陰から急に登場して対応する前に倒すことができたりする。各種類で連続スライドの回数と硬直時間が微妙に違うので特徴をおさえておくとさらによいだろう *1
  • シューターでの斜撃ち: 高台にいる的に対して放物線状に弾を飛ばして当てる技術 *2 だ。基本的には高台から下に撃つのが有利なのだが、スプラトゥーンの世界では微妙に物理学が違うので斜撃ちをマスターすることによって 1:1 における高台の有利さをほとんど打ち消すことができる。ちなみに私は苦手だ。
  • チャージャーでのドラッグショット: 射線を相手に認識させることなくいきなりインクを当てる技術。ドラッグによってエイムがずれやすいのをどれだけ練習で修正できるかがコツ。これを理解しておくと、位置取りが悪いと射線がなくてもいきなりキルされることがわかるので、悪い位置取りを事前に避けることができるようになる。ドラッグショットとは直接関係ないが、各ステージにチャージャーの定位置がいくつかあるので、それを予め覚えておくと事前に警戒することができるし、上手くて近づけないチャージャーであれば早々に裏を取る戦術に切り替えることができる。

基本動作を習得して、実践で使っていくときにいくつか特性がみえてくるので、それを把握しておく。

  • 射程長めのシューター: 基本的には遠くから当てる中衛〜後衛用。懐に入られたら厄介だが、ギリギリなんとかなる場合も多い。裏をとりにくには向かない。キルタイムが長めのものが多い。
  • 射程短めのシューター: 基本的には前衛〜中衛用。射程によって、相手の懐や裏から倒すものと、距離感を維持しながら駆け引きで倒すものがある。キルタイムが短めのものが多い。
  • チャージャー: 射程が長く後衛用(スクイックリンと竹は中衛用)。キルをとりにいく場合はいかに位置を特定されずに移動し続けるかが重要。特定の拠点防衛には思ったより向かないが、上級者になると全く近寄れないので注意。たとえ下手でも、練習するとエイム力と相手のムーブに対する読みを鍛えることができる。
  • ローラー&フデ: 射程が短く扱いが難しいが、短距離で1確(一発で仕留めることができる)のローラーは貴重。フデはシューターに負けると思われがちだが、案外弾幕になって勝てることがあったりする。ダイナモは先読みとインク使用がシビアだが、そのセンスを磨くにはとてもよい。
  • ブラスター: 各種ブラスターをある程度使っておくことで射撃間隔のリズムをつかんでおくのが重要。同時に射程を把握しておくことで、爆風で被弾したときに前進して倒しにいくか、後退して避けるかを判断できるようにしておく。射程の長いブラスターであれば前進して倒す戦略がとりやすいが、射程の短いブラスターだと逃げたほうが得なことが多い。
  • スピナー: 射程とキルタイムが最強。中長距離でもキルタイムが短いので正面から近づくとすぐにやられる。裏をとりにいけないところに位置どられたらチャージャーに任せるしかない。逆に、チャージャーはスピナーを優先的に倒すようにしないといけない。
  • スロッシャー: 連射速度がブラスターよりも少しだけ短いのでうまく躱しながらやるとブラスターよりも圧倒的に強くなる。洗濯機は特に射程とダメージのバランスがよく中衛として人気がある。ほぼ垂直にインクがおちるので、シューターで斜撃ちが苦手な人には扱いやすいかもしれない。バケットスロッシャーは射程も長く2確のあたり範囲も少し広いので、上級者が持つと本当に強い。
  • シェルター: 傘を開くタイミングをうまく覚えると、単に連射で突っ込んでくるシューターや暴走イカスフィア、スーパーチャクチなどに対して防御ができるようになるので、戦術の幅が大きく広がる。傘を相手にしたときに開かれるタイミングもある程度予測できるようになっておくとよい。

射程の長いブキで射程の短いブキを倒すのが基本戦術になるが、射程の長過ぎるブキは射程が短くてもフットワークの軽いブキで工夫して倒すことができるようになっているので、自分が倒しやすいブキの相手を倒しながら、チームメイトと上手くタイミングをあわせて難しいブキ(上手いチャージャー)を倒しに行くようにする。たとえば味方がスペシャルやサブウェポンを使って相手を牽制している隙に裏に回り込んで倒すなど。

そのときになるべくうまく会敵することを心がける。射程の長いブキであれば正面からあたりにいってもよいが、基本的には first find first kill の原則に従って相手の死角から倒しにいくべきだ。したがって接敵方向は

後ろから > 横から >> 正面から

が有利な順番になる。もちろん後ろをとりにいったら、自分が相手に後ろをとられやすくなるし、相手のサイドにまわろうとしている時点で、別の敵に横腹を見せている可能性があることをお忘れなく。

味方チーム内のレベル差

みんな違ってみんないいので、4人集まれば当然上手いやつも上手くないやつも、相性のいいやつも相性の悪いやつもいる。さすがに下手なやつとか合わないやつばっかりとマッチングされるとこちらも人間なのでだんだんとテンションが下がってくるが、下手なやつは過去の自分だと思って責めすぎないようにしよう。責めたところで意味がないし、怒りをもたないように心がける方が簡単でコスパがよいからだ。全員のスキルレベルも必ず戦略、戦術に組み込んで行動するのがよい。切り込み隊長がいたら囮に使って裏にまわればよいし、あまり上手でない味方がいたら囮に使って敵を倒せばよい。もちろんこちらの行動が制限されたり難しくなることが多いだろうけど、本当に上手いやつはそれでも勝つといっていた。結果的に上手いやつが無双して勝ったようにみえても、そういういろんな駆け引きの上に勝利があるんだと思うことにしている。

地形

地形にあわせて有利なブキを選ぼう。理想的にはすべてのマップの地形と初動パターンを頭に入れておくのがよいが、そうでなくてもざっくりと頭に入れておくのがよいだろう。

平地vs凹凸の多い地形

ホテルオークラやモズク農園など、平地の多いマップでは見通しがよいので、射程の長いブキが有利だ。イカ速をつけて機動力をアップしても戦術の選択肢がひろがる。広い平地をなるべくよく塗っておくことで自由に移動しながら素早く移動して相手をつかまえて倒せるようになる。あと平地だとカーリングボム移動が捗る。

一方でハコフグ倉庫やタチウオパーキングなど凹凸の多いマップでは見通しが悪いので、射程の短いブキを使って物陰に隠れながら敵にアプローチしやすくなる。塗りが多少悪くてもなんとかなることもある。しかし凹凸の多いマップだからブラスターが有利か?というと個人的にはそう感じないことも多い。難しい…

細い地形vs広い地形

細い地形だといくつかのスペシャルウェポンが有利になる。具体的にはハイパープレッサーとマルチミサイルが逃げ場が少なくなるので脅威だ。時点でルールによってはアメフラシか。逆に丸く開けたマップだとこういうブキは扱いが難しいことがある。広い地形だと裏にまわるルートが増えることが多いので、インクアーマーやスーパーチャクチなど単独行に向いたスペシャルとメインウェポンを選ぶとよい。

駆け引き

「裏をとりにくべきかどうか?」は、おおまかにいって次のように考えている。

  • 正面で拮抗または押されていて打開したいときに有効
  • 正面で押している場合は無用なリスクになる(相手が裏をとってくる場合がある)
  • 戦線が溶けかかっているとき→裏をとれなくても横からいくべき
  • 裏をとられている場合(何度もやられている場合)→かならず殿を誰かがやる

裏を取ると効果が高いのは、↑で述べたように後ろや横から会敵した場合に1:1でも勝つ可能性が高いからだ。いちど勝って戦力差をつけた瞬間からランチェスターの二次法則でさらに戦力差がついていくので、状況を打開するきっかけになりやすい。では、「正面で拮抗または押されていて打開したいときに有効」と述べたが、こういうときに必ず裏をとりにいくべきか?については自明ではない。というか、これはスプラトゥーンだけでなく、人類の戦史上かなり重要なテーマである。

リデルハート戦略論 間接的アプローチ 上

リデルハート戦略論 間接的アプローチ 上

リデル・ハートの著書によれば、戦史上大きな戦果は裏をとりにいって相手に多正面作戦を強いるたときに、数の多寡に関わらず勝てるという結論になっている。では、裏をとりにいってよいときはどういうときか?これは、前線を維持できる限りにおいて裏をとりにいってよいと書いてある。つまり、拮抗状態を維持する工夫や、前線を崩壊させない工夫なしに前線を抜けたりしてはいけないのである。工夫というのは、たとえばマルチミサイルで回避行動をとらせて気をそらすとか、ボムなどで牽制してからこっそり後退するとか、まあスペシャルとかサブウェポンを使った、そういう工夫である。それでも勘のいいやつはマップをみて裏とりに気付くので、そういうときは味方にスペシャルつきで陽動をしてもらうとか連携が大事になってきたりする。

戦況把握

駆け引きというか、それ以前にこの先30秒〜1分間の行動を決定するのに最も重要なのが戦況の把握だ。これには2つ手段があって、TPSでの目視観察と、マップでの全体観察である。前者は、前線に近い場所で潜伏して5〜10秒ジッとしているだけで実は案外いろんなことがわかる。これを上手く使っていたのがMOTTYで、プレイ動画を参考にするとよいだろう。ちょっとジッとしているだけで相手に移動飛沫がみえたり、遠くでリスポーンするやつがいたり、チャージャーの射線がみえたり、ブラスターの爆風がみえたりする。裏を取りに変わったルートで回り込んでくるヤツもマップによっては見えたりする。これで相手の位置をきっちり特定すればその後の行動をきめて相手の不意をついて倒せるようになるし、相手が顔を出して攻撃してくるタイミングもおおよそ読めるので、私はかなり重視している。

後者のマップでの全体観察はよく言われることだが、ここからわかることは案外少ない。インクの塗り具合と、今どこが塗られているか、味方の位置と、インクで塗れている敵の位置がわかるくらいだ。きっちり自陣を塗った上でマメに確認することで、裏とりを未然に察知できるくらいだ。その割に目の前が見えなくなるし目がチカチカするしで個人的にはあまりメリットは少ないと思っている。

裏とりに気づいたら、おおっぴらに追いかけるのもよいが、相手のルートを予想して潜伏して、待ち伏せて華麗に倒すととても気持ちがいい。

対複数戦

多勢に無勢になってしまったときは、まず基本的には三十六計逃げるに如かずである。しかしまあどうにもならないときには、自分のまわりがある程度塗れているときに限って、

  • 近距離系のスペシャルで同時に倒す
  • 相手の射線がかぶるように位置どって一人ずつ倒す
  • 置きボムで逃げながら少しずつ倒す

現実世界だと逃げながら待ち伏せて一人ずつ倒すというのが可能だが、スプラトゥーンの世界ではみんな移動力が同じなのと、複数人だと交互に塗りながら進めるので実は単独で追うよりも速度が出てしまい難しいことが多いので、逃げるときは逃げると決めて逃げよう。スーパージャンプは相手に位置が特定されていないとき、発見されるまで時間がありそうなときにだけ使おう。

相手の動きを読む、コントロールする

ボムを右側に投げ込んでおいて左側に出てくるのを待つ

動きを読む
 戦況把握
 敵陣奥深く、前線よりちょっと奥で潜伏して後ろからキル
 なるべく丹念にリスポーン〜前線までのルートを塗っておいてリスク回避
 隠れてそうな物陰を遠くから塗ってみたり、センサーを投げてみたりする

定跡(だと思っているもの)

エリア

 エリアの中に入らない
 潜伏系の戦術があまり通用しない
 回り込んで相手の人数減らせるかどうか
 エリア確保できたら押し込んでいくのが基本
 エリアは逆転要素少ないので実力が如実に出る

ホコ

 ホコの位置を常に確認
 ホコを割ると周囲が塗れるので有利
 割るのに必死になっていると横からやられる場合がある
 相手の人数を減らしてからホコを運ぶのが基本
 相手の虚をつければ人数を減らせてなくても勝てる
 ホコのルート選びがセンスを問われる
 ホコが最強のブキなので撃ちまくる
 エイムがよければ警備は不要
 裏とられると弱いので、後ろに護衛が必要
 誰がホコを持つか?問題

ヤグラ

 誰がヤグラに乗るか?問題
  できればチャージャーかスピナーなど射程の長いブキが乗るべきだが、地形次第では難しい場合も
  うまくサポートに回れるチャージャーなら、射程の短いブキでも乗るべき
 ヤグラから降りるタイミング
  敵が近づいてきているが、1:1でも倒せそうな相手の場合は降りて倒す
  降りずに倒すのがベストだが物陰を利用されたりフットワークのよい相手だと難しい
  味方がジャンプしてきている場合
  自分よりもふさわしい味方が乗ってきた場合(ラスト30秒以外)
 ヤグラから降りるべきでないとき
  周囲が完全に塗られていて孤立している場合
  多勢に囲まれていてカウントを更新し続けている場合は1つでもカウントを進めるべき
  味方がジャンプしてこない場合
 ヤグラは裏をとられにくいが、それでも裏に回ってくる場合があるので余裕があるときにマップなどで確認
 ヤグラの上ではジャンプしない
 ヤグラの上ではインクチャージ以外で潜伏しない
 ヤグラに乗ってない人はクリアリングまたは前線開拓に専念する
 ブラスター対策
  斜撃ちを練習してマスター

アサリ

 難しい、未だに慣れない
 9まで貯めといてアサリをひとつずつ投げながらコッソリゴールまで移動する
 ボールができたら、ゴール下にいる味方に向かってスーパージャンプする
 ディフェンスが案外大事で、味方が攻め気のときに一人残ってクリアリングしつつ、↑のような裏とりを防ぐ

復習

stat.inkイカリング2 | スプラトゥーン2 | Nintendo Switch | 任天堂を使うと、各バトルのStatsが見れるので、次のバトルまでの短い時間でよいので、バトルでの自分の手応えと、実際のStatsを見て感覚を修正する作業を怠らないこと。手応えないな~と思ってたら意外と苦戦していたり、キル数で差がついていなくてもデス数で差がついていたりすることもあるので、僕は必ずやることにしている。あと勝ったときもね!

まとめ

自分がスプラトゥーンを何百時間かやったり動画をみたりして、いろいろ思っていたのを言葉にしてまとめてみた。基本的には、個別の知識よりも全体的な考え方とか、抽象的な考え方と、どこでも応用できる基本動作に絞って初級〜中級くらいの難易度でまとめた。ネットで言われていることやまとめサイトに書かれていることが膨大すぎてちょっとダルいし体系だってないので、自分向けに基本を忘れないようにできたらいい。

*1:私はマニューバーだけがどうしても苦手だったりする

*2:正確にはスプラトゥーンの世界では放物線にインクが飛ぶことはないが、まあ現実に対するアナロジーとして