という本を読んでいる。DebianなどのLinux本というと、技術的な使い方の説明に終始していて、使いながら読めば大抵のことはできるようになり、使い方に困らなくなる...というのが大抵だが、本書はそうじゃない。
最初は、Debianが何なのか、簡単な歴史と共に解説した後はDebianが解決すべき課題とか、そのゴールとかを説明し、その後はコミュニティの運営、政治について解説する。高品質なソフトウェアは明確な哲学と人によって支えられているということがよくわかる。
The Debian System―その概念と技法 (MYCOM UNIX Books)
- 作者: マーチン・F.クラフト,Martin F. Krafft,上川純一,武藤健志,トップスタジオ
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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…という話は前半までで、インストールの方法や、安定版、不安定版、テスト版などのDebian用語とその意味の解説になる。用語の解説が主体というわけではないが、Debianアーカイブの仕組みなどを読むうちに用語と共に理解することができる。さらにDebianの中心となるdpkgとAPTの解説のあと、それを支える周辺技術(沢山ありすぎて覚え切れない)を丁寧に説明してくれる。中盤からは主にディストリビューションを支える技術の話になる。システム管理、セキュリティ、カーネルビルドやデバイスの管理方法etc.... ソフトウェア開発者として最も参考になるのはパッケージの作り方だ。ここまで中身や方法を詳しく丁寧に解説してくれているものはないと思う。あったら教えてください。
で、そのあとドキュメントとフォーラムの説明。BTSやら何やら。この辺は錯綜していて、ネットを徘徊しているだだとよく分からないけど、割と解説してある。
付録Bはとても面白いので必読。付録D, E, FはこれからOSSをやろう!という人は目を通しておくべき文章*1。こういう分厚くて、行間を読む必要のない割に哲学や思想が語られている本、けっこう好きです。
*1:いつか読まなきゃと思ってまだ読んでない…