ことIT系に限っては産業としての伝統が短い(本格的に産業として成立したのは1990年代以降だろう)ので、労働組合の伝統も短い。人月単価で仕事を評価するシステムなら労働組合はIT土方の仕事もきちんと守るべきだ。
情報労連がその仕事を引き受けるに相当するところであるが、大手通信業者が並ぶのみであって、中小ソフトハウスどころか大手のソフトウェア産業もここに属していないようにみえる(属しているのならば、仕事をしてほしい)。
10年泥とか7Kだとか、ソフトウェア系IT産業に従事する労働者が全く守られていないように思えるのだが、彼らは何らかの組合に加入して自らを守る機会があるのだろうか。
ソフトウェア産業においては、
- 終身雇用制(ロスジェネ問題)および人月単価による評価の崩壊を労働組合が受け止めきれていない問題
- ソフトウェア産業の産業構造が労働組合による団体交渉に適していない問題
- ソフトウェアを作るのは設計工程が重要な位置を占めていて、仕事量を定量的に評価することがとても難しい
- ソフトウェアの品質や価値は個人の資質および生産性に大きく依存するため、既存の労働組合における、労働力は交換可能であるという前提にマッチしない
のような矛盾があって、それを解決することによって労使共にハッピーになるか、それとも労働者と資本側という二項対立の冷戦的なスキームから脱して新しい産業構造を見い出すべきではないのか。
ということを組合と会社および経済産業省辺りの人には考えてもらいたいのだけど、パラダイム転換だとかコペルニクス的転回というのは常に外圧または周縁部から発生するということを考えると、結局は外資系のどこか某社が黒船になって日本がてんてこ舞いしないとどうにもならんのではないかとも思う。
逆に
自動車とか電機とか土木とか、そういう労働集約型産業においては労働組合による団体交渉が成立するのかもしれないけど、ソフトウェア産業は頭脳労働なわけで、これはどういう形態の産業で、どういう形の産業構造(および産業従事者の権利を守るスキームだとかセーフティネットの確立)が最も適しているか、ということを誰か考えている(知っている)人はいるのだろうか。それともガイシュツ?
いや
単に今季春闘における情報労連のヘタレっぷりに腹を立てているだけなんですけどね。いや毎年ヘタレなんですけど特に今年はひどい。アンシャンレジームここに極まれり。