端的に言うと、赤い帽子の会社なんかがOSS由来のプロダクトを高額で売っているという現象のことである。コミッターのほとんどは欧米の営利企業に勤めていて、フルタイムでOSSの開発を行っていると聞く。OSSは最早趣味の世界ではいられなくなったということなんだろう。大体、赤い帽子のOSの会社の製品の値段を見てると、それどこのプロプラですか?と思ってしまう。
企業の経営者がOSSのメカニズム、エコシステム、コミュニティ、バザールモデルなどの破壊的なイノベーションを生み出す仕組みについて理解しているかというと、ほとんどしていない。
賢い経営者は「OSSという手段を使って儲けることができるか?」について真剣に考えてはいると思う。なので、「猿でもわかる」ようになっていないことが問題かと言われたらそうだと思えない*1。顧客もそうだ。ちょっと知っているだけに「OSS使って大丈夫なの?」と思っている人間が大半だ。もちょっと言うと、SLAという概念が希薄で、ITに対する要求が無駄に厳しいものになっているためだ。つまり、
- お客様至上主義
- →サービスは絶っっっっっ対に止めてはいけない
- →ましてや、故障で止まるなんてことはあってはいけない
- →故障で止まらないための投資>>>>故障したときの被害額
- →ITに過剰な投資がされるか、ITに不当に高い要求がされるか
ということになる。もっと端的に言うと、「ベンダーが責任取ってくれないシステムなんて買わない」という顧客と、「責任取れないOSSは使わない&HWとセットで売るのでプロプラも安く提供する&システムのサポートで儲ける」ベンダーがいて、さらに、ハードウェアコスト>>ソフトウェアコストな現状だとOSSなんて普及しないわけですよこれ。
ついでに言うと、OSSについて、きちんとしたサポートを提供しようとすると、そこいらのプロプラと同程度の価格になってしまうので、システム全体の価格の規模感から言うと、結局膨らむのはHW導入とメンテナンスコストであって、そこはOSSだろうがプロプラだろうがあんまし変わらない。だったら、海の向こうの馬の骨より、国内の営業の顔が分かる方の…という判断になる。極めて合理的ですね。
他にも、企業がOSSに貢献できない理由として、ソフトウェアが資産として計上されるとか、「OSSにコミットする=会社を代表する=中途半端なことできない=誰が責任とるの?」とか、言葉の壁(コミッターの少なさ)とか、原因はありそう。
これら多くの課題をOSSは乗り越えることができるだろうか?
*1:つーか、猿でもわかることしか理解できない経営者がいる会社なんて潰れたらいいと思います