プライス<a class="okeyword" href="g:mohican:keyword:レス">レス</a>

つまり日本のナショナリズムは、それと対極にあるはずの「対米従属」と一体になっているのだ。外務省密約事件は、そのねじれの生み出したものだ。沖縄を「無償で返還」させて日本がアメリカと対等な国家として自立するというフィクションをつくるため、国民に対して「金で買った」事実を隠さざるをえなかったのである。この密約は、アメリカには知られていたのだから、外交機密ではなく、国民を欺くための偽装である。西山記者は、まさに日本外交の恥部を暴いたのだ。

と、金で買って何が悪いのか? 国家なんてのは共同幻想で、国民は多かれ少なかれ騙されている。単純化・あるいはサニタイズされた真実しか受け入れられないのだから、それは秘密にしておいたのだろう。それを暴くのが報道の仕事だろうと思うのだが、裁判になっているときに、権力によって事実が圧殺されているときに、同時のマスメディアは何をしていたのだ? キャンペーンは張らなかったのか? だとしたら、結局、彼らは必要なときに為すべきことをしなかったのではないか。

そして、むしろ偽装して何が悪いのか。沖縄・サイパン・ハワイ辺りは太平洋のキーストーンであるから、そのひとつが日本の領土であることは非常に重大な意味を持つ(中国だって喉から手が出るほど沖縄が欲しいことだろう)。騙そうがどうしようが、ここを日本が持っていることの重要性というのは、いくら強調してもしきれないことだ。沖縄はPriceless。

そこを自分たちだけで守ろうとするのではなくて米軍に守ってもらうというのも非常に上手い寄生だと思うのだけど、それを追従というのも間違ってはいないのか。なんでもいいけど。

というか、外交の恥部って言い過ぎなんじゃーないのか?外交とか諜報なんて汚いもんだろう。むしろ、そういう汚いことをどれだけ引き受けつつ、必要な目標を達成できるかどうかが政治家の器だと思う。だから、某宗教団体に電報を送るのも、もしかしたらそういうことの一環なのだろう、と私は一応信じることにしている。