ミドルウェアのコモディティ化 v.0.3

ユーザも開発者も多いソフトウェアはコモディティ化がほとんど完了している。つまり、価格は限界まで安くなり(free≠タダだけど)、ニッチな市場(または独占市場)を持つものだけが価格を維持できている。開発者は、開発それ自体では利鞘がほとんど得られないため、SI/SEやサポートで価値を提供している(このノウハウはコモディティ化しにくいと思われていた)。

しかし、ソフトウェアのコモディティ化の行き着く先には、ミドルウェアのコモディティ化が待っていた。つまり、SI/SEにおいて各社が競争する中で、似たような案件の開発の際に各社が独自に蓄えていったノウハウは結果的に非常に似たようなものになっており、このノウハウを各社が独自に蓄えておくメリットがなくなりつつある。同時に連携性・互換性などが必要とされてきている。その先にあるものはシステム・アーキテクチャの共通化や標準化、そしてコモディティ化である。各社は互いの互換性を維持しつつ顧客を奪うために、標準化を進めつつある。コモディティ化した世界では、機能や性能、価格などで差をアピールすることができない(全部タダだから)。そこには新しい研究開発の余地は少なく、標準化会議での政治が競争の場になる。

一方で、ニッチなMC市場では未だに従来のミドルウェアの研究開発パラダイムが維持されていた。パフォーマンスが顧客の利益に直結する世界で、各ベンダーは独自技術を競って研究開発していった。一方で同時に、オープンシステムの普及に伴い、オープンシステムはMC市場にも踏み込もうとしている。そこで価値を生むのは…高性能Java Framework(たぶん)。各社が競ってレガシーシステムからJavaへのマイグレーションを実装しつつあり、市場はニッチではあるが、(ライセンシーやサポートの)単価が高く、一方で技術者は多いため、ここでソフトウェアを開発することに十分な意義がある。そこで必要とされるのが、MCシステムの安定かつ高性能な運用を実現するための高信頼ミドルウェアである。