撹乱論法

(引用A):もうひとつ気になるのは、憲法21条の言論の自由を引き合いに「議論することを止めるのは言論封殺だ」と、批判を封じ込めようとする麻生氏や安倍首相の言い分だ。

この文章を読んで、「意味が分からない」と思った人間は正常だ。この文章は矛盾というほどのものではないが、非常にややこしいものになっていて、バイアスのかかっていない普通の人*1は分からない。「言論封殺はダメだろう」→「批判を封じ込める」の意味がちょっとしたところでは分からないからだ。

朝日新聞を始めとする左系メディアはよくこの手の論法を使う。自分達が大手メディアで「正しい日本語を書いている」という信頼を使って、上の引用Aの文章が正しいということを読者に認識させようとする。ところが、後で説明するがこの日本語は論理的に面倒な構造になっているので、知識がない人はこれを読むと混乱する。私も最初は混乱した。で、混乱すると「この文は賛成なのか反対なのか」「この文は敵か味方か」という二分法でなんとか判断しようとする*2。すると、朝日の普段の姿勢から、これは、麻生氏や安部首相を批判したがっているのだろうなあという意味でこの文を読んでしまう。

さて、正しい文章が、自分にはよくわからないけどきっと正しいと思われる論理で言っていること、こういう文章はどうやっても批判できない。だって正しいという前提なのだから。で、反論もできないうちに、この文章を読んで混乱しているときに刷りこまれるわけだ。そのとき、知識がなくても「ふーん」という反応ができれば健康なのだが、若気のある人間だとちょっと気が逸って洗脳されてしまうかもしれない。

ちょっと長くなったので、上の引用Aがなんでおかしいかというのは続きに書くことにする。続き→d:id:kuenishi:20061031:embed

*1:無垢な高校生とか中学生

*2:国語の先生にそういう読み方を習った記憶がある