メディアが伝達する情報を、物理媒体とかそういう視点で分析するのは優れた発想だと思う。というか慧眼だ。でも、その先の完成度がイマイチなのが残念。本人も書きかけだとは言ってるけど。で、音声とかそういったメディアに対して、
- (1)媒体
- (2)受容媒体
- (3)流通媒体
- (4)翻訳媒体
という分類を行っているけど、これはナンセンスだと思う。むしろ視覚・聴覚(と触覚?)の二種類の経路について、OSIの7層モデルをアナロジーに考えるほうが分かり易いのではないか。あるいは、この二種類の経路が言語とある程度絡まっていると考えることもできるが、最終的には認識行動科学の裾野まで渡りそうな感じ。
つまり、今のところ通信が可能なのは映像と音声だけ。しかもそのいずれにも「言語」という巨大な建築物が乗っている。写真とか、音楽とか、画像とか、絵画とか、そういうのは全て主流ではなく、文字と音声のためのツマに過ぎない。で、メディアのx層モデルだけど、上から
- 言語
- 音声/文字
- 音波/光波
っていうくらいしか思いつかない。というか、そういう物理的なレイヤーにのみ還元することは意味がないことに(今)気付いた。伝播するのは記号だけで十分だし。OSI7層モデルの思想っていうのは、
Everything over IP
IP over Everything
である。つまり、全てのデバイスを一度IPで抽象化して、媒体としてその上にどんな形式の情報も乗せられるようにしようという思想である。で、この"IP"という単語、広義の<言語>というものに置き換えればよい。人間がそのレイヤーの上で情報交換するところの全てのものを広義の言語と呼ぶなら、その媒体としてメディアがあるべきだ。そして、「マスメディア」という言葉は、ほんの一部でしかない。今大流行してるネットワーク思考*1的に言えば、、ノードとリンクのモデルで考えるところの一部のノード集団が中間層の役割を果たすわけだ。
つまり、一般的に統治ツールとしての「メディア」というのは、数多ある(はずの)情報源の砂漠から情報を拾い出して、その情報をある程度処理して、大衆にリリースする中間処理層としてのノードとリンクの部分集合だと考える方がいいんでないの、と。
そういやニューラルネットとかでもHidden Layerなんてあったなぁ| ̄L ̄|
で、そう考えるとレイヤーの下層部分が何であろうと、上に乗る情報というのはかなり抽象化されているからあんまし関係ないわけだけど、かといって全く関係ないというわけでもないと思う。ってわけで、テレビとか新聞とか雑誌とかネットとかっていうのも、そういった情報の下層レイヤーでしかないけど、されど下層レイヤーなわけだ。
参考図書
- 作者: アルバート・ラズロ・バラバシ,青木薫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2002/12/26
- メディア: 単行本
- 購入: 35人 クリック: 488回
- この商品を含むブログ (202件) を見る
*1:参考図書を参照