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大根はなぜ消化によいのか

夕食で大根の煮物が出てきた。冬はやはりこういうものに限る。暖まるなあ…消化にもいいらしいし…と思ったところで、ふと大根はなぜ消化によいのだろうか?という疑問がわいた。大根は動物ではないのだから食物を消化する必要はないわけだ、消化酵素というものが含まれているが、酵素は通常は動物の体温程度の方が活性が高いので地面に埋まってる大根が低温で持ってても使う機会ないんでは…?などと疑問は尽きない。

我々取材班は早速Google経由でWikipediaに向かった(夕食を食べてダンベルのメニューとブルガリアンスクワットと、スプラトゥーンのガチマッチを10戦ほどこなした後で)。

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大根おろし - Wikipediaには「大根にはアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が豊富に含まれているが、これら酵素は熱に弱いため、加熱をともなう調理法では有効に利用できない」と書かれており、主に三種類の消化酵素が含まれていることが分かる。この三種類の酵素について、調べていこう。

アミラーゼ

アミラーゼは、デンプンを分解する酵素だ。というのはあちこちの料理サイトから、いかがわしい健康ダイエット系のサイトまで、どんなところでも書かれている。過熱すると酵素はこわれちゃいから大根はなるべく生で食べましょう、消化がよいのでダイエットに効果ありますぜ!と、そういうのは無視したいのだけど、もうWebは汚れてしまっていてほしい情報に辿り着くのは非常に難しい。

しかしアミラーゼについては案外簡単に答えがみつかった。ダイコンのアミラーゼ | みんなのひろば | 日本植物生理学会が非常に詳しい。いわく「大根にはほとんどデンプンがないのに、どうしてその消化酵素が多く含まれているのですか?」という非常に鋭い質問だ。しかも実験までされている。最近の塾ってすごいんだな…とにかく、要点を引用すると

  • デンプンはデンプン粒として1〜0.5%存在しているとのことです(澱粉科学35: 19 (1988))
  • ダイコンの根は〜90%が水分であることからすれば、そんなに少ないわけでもありません
  • アミラーゼは植物細胞中で、原形質ではなく成熟細胞の大部分の体積を占める液胞の中に局在
  • デンプン粒は液胞の中ではなく、原形質に存在
  • 相互に接触していないため、デンプン粒がアミラーゼによって分解を受けることはありません
  • 冬大根であれば秋―冬での光合成産物を根に貯え、春に種子ができるときそのエネルギー源として根のデンプンを利用していると考えられます

ということだ。動植物が冬を越すためにエネルギーを蓄え、その中でデンプンと同様にアミラーゼも蓄えられているという精巧な仕組みになっている。ではデンプンの消化を助けるというが効果のほどはどうなのか。唾液や膵液に含まれているアミラーゼの含有量はわからないけど、

から、なんとなくオーダーが推測でき…ない。大根おろしを1リットルほど食べれば補助にはなるかな。食べ過ぎかな。

まとめ

分子生物学とか化学ちゃんと分かってないと説明するのは難しい。あと市井の情報源はほとんど信頼に足らず、どれだけ食べたらどういう定量的効果が得られたのかといったデータを全く語っていない。
タンパクを壊すタンパク・プロテアーゼのような面白いページで時間を溶かしてしまって簡単には目指す知識にたどり着けなかった。人類の膨大な知的資源を投資し続けているだけのことはある。