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インフラとかプラットフォームという言葉の流行とマシン語を知らない子供たち

プラットフォームとは何か?と訊かれたらもう「ただの言葉じゃ」と答えるしかないような時代になってきた。amazon EC2GAEがこれからのITシステムやコンピュータサイエンスの在り方を根本から変えてしまうのだろうし、コンピュータに関する研究分野は広すぎて誰にも把握できなくなりつつある。
研究の過程で、アイディアを練って議論して、関係者を説得して予算をもらって実験して、結果をまとめて論文を書いて、査読をしてもらって、査読が通れば学会に言って発表、というサイクルをするなんていう回りくどいことをするよりも、さっさとサービスにして公開してしまえばいい。それを実現するのがクラウドコンピューティングのぷらっとふぉーむというやつである。スピードが命。となると、小さい企業が俄然有利になり、意思決定に時間のかかる大企業の生きる道は…と考えてここでふと停止する。さてエンタープライズユースに進むべき道があるとして、そのエンタープライズユースも実は道が塞がれているらしい。

各種のネットサービスを提供する企業もCloud Computingによって提供されたインフラを使えばよく、自前でサーバを立ち上げたり、データベースを構築することはなくなるでしょう。むしろCloud Computingインフラの利用者側の企業間でデータベースを共有する、つまりビジネス上の最重要情報を共有することが前提とするビジネスモデルも出てくるでしょう。

これって多分、SOAとかWSDLとかBPELとか言い出した連中が本気で夢想していたことで、バズワードに飛びついただけの連中と、バズワードだからと相手にしない連中はこういう可能性に気付いていないのだと思う。そして、これからの最先端の技術者に要求される技術はそういうWebサービスなんかをいかに上手く抽象化して、それをビジネスに結びつけるところがポイントになる。彼らは機械語なんて理解する必要はないし、仕様書に書かれた入力と出力の関係だけを把握しておけばよい(細部にわたる知識や経験は、「現場」化していくだろう)。
逆に、DBとかJ2EEとかフレームワークとか、そういうところに技術を持っているエンジニアは、左官工とか機械系エンジニアとか、組み込み系エンジニアとかそういった職種と似たような方向性へ発展していくのだろう。いわゆる職人芸になるのかもしれない。この領域に辿り着いて初めて、細部にわたる知識が必要になる。つまりマシン語を知ることに価値が生まれる

それにしても佐藤一郎さんの思考と表現力は、いつも私の頭を刺激してくれる。願わくば、こういう人の下で学生をやりたかったし、こういう人の近くで働きたい。という私の上記文章は、嘆かわしいことに彼のような明快な思考を実現も反映もできていない。