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2.1 - 2.4

一人Road to Reality解読会。一日に読めるのは少しだけだけど。

2.1 The Pythagorean theorem

ピタゴラスの定理の簡単な証明。大きさの異なる二つの正方形で平面を充填したときに、片方の正方形の頂点のひとつをパターンに従って直線で結んだ場合に、ひとつの正方形をナナメに充填することができる。繰り返しとなる正方形単位の面積は同じなので、前者の二つの正方形の面積の和と後者の正方形の面積は等しい→ピタゴラスの定理

だけど、直角ってどうやって定義されているの? 正方形の四つの角が等しいことが分からないとダメじゃね?

という話。

2.2 Euclid's postulates

ユークリッドの公理系(axiomatic system)は自明で、それに準ずる5個の公準(postulate)を我々は自然に仮定している:

  1. there is a (unique) line segment connecting any two points
  2. unlimited(continuous) extendibility of any straight line segment
  3. the existense of a circle with any centre and with any value for its radius
  4. the equality of all right angles
  5. if two straight line segments a and b in A plane both intersect another straight line c(a transversal of a and b) such that the sum of the interior angles on the same side of c is less than two right angles, then a and b, when extended to far enough on that side of c, will intersect somewhere

2.と3.は空間の線形性を示すために必要。4.は現代人にはちょっと違和感があるかもしれないが(直角はどこにあっても直角だろう)、空間が等方的かつ対称であることを示すために必要。

で、5.の平行線の公準って何?ちょっと怪しくね?ということになるわけだが、これなしではピタゴラスの定理も証明できない。でも、じゃあ実際に宇宙はそういう風になってるのか?と考えたら、これは今でも議論が分かれているというか、宇宙スケールでの正方形って存在するの?っていうときに各論がconflictするのだとか。

2.3 Similar-areas proof of the Pythagorean theorem

では、平行線の公準を使わずにピタゴラスの定理を証明できるだろうか?ってことで、直角三角形の直角から斜辺に垂線を下ろして、相似している図形の面積は一辺の長さの二乗に比例することと、もとの三角形の面積==分割後の面積の和っていうところからピタゴラスの定理を証明できた…と思ったら、相似を証明する時点で平行線の公準を使っていることが判明。そもそも面積って何?っていうところから深みにハマりそうだからそろそろやめとく。

で、どうやらピタゴラスの定理の妥当性は平行線の公準に依存しているように見えてきた。次節で、平行線の公準が成立しない世界について検討してみる予定。

2.4 Hyperbolic geometry: conformal picture

(さあ、盛り上がって参りました!)

エッシャーのCircle Limitという絵を引き合いに出して双曲線幾何学について、ユークリッドの4つの公準と三角形の面積について考察。

  • 双曲線幾何学の宇宙(hyperbolic universe)は一般に円で描かれるが、その円周が無限遠となっている。
  • 2点間の直線は(ユークリッド幾何学における)別の円周によって表現され、これが唯一の直線となる。直線を表す円と、双曲線空間を示す円の二つの交点は必ず直角になる。
  • 直線の距離スケールは円周に近づくほど増加していく。
  • こういうのをconformal modelとかPoincare discという。

このような平面では、三角形の内角の和がπに等しくなるとは限らないが、πとの差は三角形の面積に必ず比例するという定理がある*1

 \pi - (\alpha + \beta + \gamma) = C \Delta

ここでCは平面のスケールによって決まる定数で、\Deltaは三角形の面積である。ユークリッド幾何学では、三角形の面積はその角度からは知りようがなかった。

また、この平面における2点A,B間の定義は無限遠の点を仮にP, Qとしたときに自然対数を用いて
\log \frac{QA \cdot PB}{QB \cdot PA}
と表現される。
f:id:kuenishi:20070619022320j:image

このような世界では、5番目の公準(parallel postulate)なしでも三角形の面積も求められるし、「平行移動」もできる。従って、エッシャーの絵に出てきた白い魚は、hyperbolic geometryでは全て合同といえるのである。

*1:この式、多様体の幾何学だかヒルベルト空間だかの話のどこかで見かけたような…