はてなQ

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赤い色が何故「赤く」見えるのか教えてください。赤色が波長700nmに対応していることは知っています。そういうことではなくて、私が知りたいのは、 700nmの光が、何故、青や緑ではなく、この「赤」という色に見えるのかということです。ずっと疑問に思っているので、納得のいく答えにはできる限りポイントを出します。できれば難しいURLではなく、わかりやすい説明文でお願いします。

出ました。こういう問題、正直面白いので釣られてしまう。質問者が
>なぜ「私」に「今のこのような世界となって写るのか」というのがまさしく私の疑問です
と言っているように、自分の好奇心というか、原始的な哲学的衝動から尋ねているのがよく窺えて面白い。一方回答者の方はピンキリでこれまた面白い。面白いけど、決定的というか統一的というか、何かコミュニケーションの不完全性が上手く現れてて、見事な回答というのはない。といって、僕がそれを与えられるわけでもないけど。

敢えて何かいうなら、これは心理学的というか認知論的な問題なんじゃないかと思う。脳神経科学というのはちょっとミクロに走りすぎてて、脳全体の挙動におけるマクロとのミッシングリンクを上手く繋げないことには、この疑問が解決することはなさげ。ポイントとしては

  • 進化の過程でそういう見方を身に付けた
  • 赤=血の色(警告色)、緑=葉とかジャングルとかの色、
  • 血液の色とかそういうものに対して言語的なシンボルを与えた
  • 脳内の情報処理機構

くらい? 色盲云々は正直外してると思う。「赤」とかそれぞれの色の言語的な分類が、人間の大体の周波数分解能と綺麗に相関してるのは決定的な意味があると思う。つまり、言語の問題は認識機構に還元できる。で、その認識機構がどうなってるのかってのは、それこそ聴覚とか味覚とかと同様にかなりロバストで柔軟な認識能力を持ってるって辺りと関係がある。なんつーか、「なんとなく」「大体」「こんな感じ」というのを認識できる能力のこと。

翻って、世界がそういう色彩で見えるのは何故だろう、って問題だけど、これは多分人間の情報処理能力と深く関係してる。つまり、周波数分解能が高ければ高いほど、世界は複雑な色彩(=高コントラスト?)の輪郭で覆われてしまうし、かといって周波数分解能が低すぎると世界の輪郭とか色彩が非常に平坦な(=コントラストが低い?)視界になってしまって得られる情報が少ない。で、人間の脳の情報処理能力と上手くバランスをとってこれくらいの世界のイメージが目に映るようになってるんではないかと。また、それが生存戦略にも適して、必要な情報処理能力が得られるような脳のサイズを得た、みたいな。犬とか他の哺乳類も多分同様に見えてるだろうし、鷹なんかは自分に必要な視界を別に得てる。つまり、自分の生存に必要な量の情報を手に入れる=このような世界の視界を手に入れる=赤を赤と見る視覚の獲得、っていうようなことではないかと。

でも、「明るい/暗い」っていうのは、色彩とはまた別の次元だからなぁ。これは音が「喧しい/静か」っていうのと同じ次元。或いは地震が「揺れる/揺れない」っていう話。

いや、自分でも進化論に捉われ過ぎていると思うけど、これ以上に説得力のある理屈というか、他にオルタナティヴがない感じ。ん億年の歳月って、意外と重いのね。